潜伏期間

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こんにちは!相変わらずバタバタ忙しくしていて、まさに「医者(の卵)の不養生」していますが、皆さまはしっかり休養も大事にしていますか。休養は大事ですよ、ハイ。

 

さて、インフルエンザになったとしてつい気になるのは、誰からうつったんだろう?ではないですか。だからその人を責めるわけじゃありませんが、なんとなく、なんとなく知りたいですよね。そんなときに役立つのが潜伏期間に関する知識です。他、感染経路や変異についてもお伝えします。

 

 

一般的な潜伏期間

 

潜伏期間、つまりウイルスに感染してから表立って症状が出るまでの期間ですが、インフルエンザB型の場合もA型と同じく24〜72時間といわれています。つまり1〜3日ですね。これを簡単にいうと、昨日〜3日前に出会った人からのウイルスということになりますね。

 

ただし感染のしかたは飛沫感染(咳やくしゃみから)だけでなく、接触感染(感染者が触った机やドアノブ、つり革などから)もあります。ということは、昨日会ったあの人からうつったという特定は難しいということになります。残念!

 

 

インフルエンザウイルスとは 感染・増殖の仕組み

 

一般的によくいわれる感染経路として、接触感染、飛沫感染、空気感染があります。このうち飛沫感染と空気感染について説明すると、飛沫感染はウイルスがくしゃみの鼻水や唾液に包まれるため粒子が大きく重くなり、せいぜい1mほどしか飛ばず落下します。一方、空気感染はウイルスの粒子だけなのでふわふわと空気中を漂い飛んでいます。上部気道にウイルスが増殖するインフルエンザはくしゃみによって異物を排出しようとするので飛沫感染することが多く、空気感染の可能性は少ないとされています。その結果、インフルエンザで可能性の高いのは飛沫感染と接触感染ということになります。(参照:http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200909/6.html#anc01)

 

感染後インフルエンザウイルスは、のどや気管支そして肺で急激に増殖していきます。感染して16時間後には1万個、24時間後には100万個ともいわれ、この増殖スピードの速さがインフルエンザの特徴です。増殖後、言い換えれば大火事になる前のたき火のうちに手を打たないと大変ですね。受診はお早目に。

 

特にB型は症状がはっきり出ないこともあるため、体を休めることなく過ごしてしまいがちです。それでも体は徐々に弱っていっているわけで、インフルエンザウイルスに対抗する免疫細胞は次第に疲れ戦いきれなくなってきます。こうした免疫力の低下は合併症につながりますから気をつけないといけません。

 

 

インフルエンザウイルスの種類

 

インフルエンザには、毎年猛威をふるうA型、数年に一度流行するB型、一度免疫ができると一生涯かからないといわれるC型がありますが、それぞれの種類の数に違いがあります。A型は144種類、B型は2種類、C型は1種類です。

 

A型だけ極端に多いですが、それはHAとNAという2種類の糖タンパクがあって、A型はそれぞれが16種類と9種類もあります。その組み合わせの結果144種類になっているわけです。これは言い方を変えれば変異しやすいといえます。

 

 

抗原連続変異/抗原不連続変異とは?

 

いきなり難しいタイトルになりました。すみません。この説明の前に、抗原とは何かの説明が要りますね。抗原とは皆さんがよく聞く抗体という言葉と関係しています。「一度かかると抗体ができるから」と聞きますね。抗体というのは簡単にいえば体にウイルスなどの異物が入ったときにできる対抗物質です。はしかの抗体、水ぼうそうの抗体などそれぞれのウイルスに対して抗体ができます。で、この抗体を作るもとが抗原といわれるのですね。つまりインフルエンザの抗原はインフルエンザウイルスです。

 

「抗原連続変異」とは、一度できた抗体とほとんど変わらない構造で変異することです。構造が組み変わるにはたくさんの遺伝子が関係するのですが、その遺伝子のほんの一種しか変わっていないので、流行のしかたとしては小規模なものになります。

 

「抗原不連続変異」とは、簡単にいえば全く別物の構造にまで変異することです。A型の場合、全部で16種類のHAがありますが、人にうつりやすいもの(ヒトインフル)はそのうち3種で、鳥にうつりやすいもの(トリインフル)が13種です。しかしその両方に感染する豚にヒトインフルとトリインフル2種類が感染した場合、全く別のものに変異し、ヒトにも感染しうるものとなります。これが数十年に一度のパンデミックを引き起こす原因となります。




過去のパンデミック紹介(スペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜ)

 

パンデミックすなわち感染症の世界的流行は、遠い過去にはペストやコレラなどがありますが、これらは(笑)ひとまず横に置き、インフルエンザについていえば有名なものは3つあります。

 

・スペインかぜ:1918年から1919年にかけてアメリカから流行し、全世界で感染者は5億人、死亡者は2500万人とも5000万人ともいわれています。なぜアメリカかぜでなくスペインかぜと名づけられたか。ちょうどこの時は第一次世界大戦中のため情報検閲が行われていました。インフルエンザの大流行の噂は味方にとっては士気が下がるもとですし、敵にとっては有利な情報となります。しかしスペインは中立国で報道が自由だったため、スペインからこのニュースが発信されたというわけです。ついでに国の名前もつけられてしまったのですね。

 

・アジアかぜ:1956年に中国から流行し、世界的に広まりました。死亡者は世界で400万人、日本でも約5700人が死亡しました。抗生物質ができていたにも関わらずの大流行です。

 

・香港かぜ:1968年の香港から流行しました。世界で100万人、日本でも約2200人以上が亡くなりました。

 

 

抗原変異は予測できるのか?

 

この予測については、平成28年に東京大学医科学研究所で、抗原変異は予測する新技術の開発に成功したとの発表がありました。それ以前は高い精度で予測する技術は確立されていなかったとのこと。この成功によってより有効なワクチンの製造が可能になるそうです。

 

 

2016-2017期インフルエンザ流行状況

 

国立感染症研究所からの報告から抜粋すると、2016年から2017年にかけてのインフルエンザの流行は、例年の11月末に比べると少し早めの中旬から始まり、年明けから急激に患者が増加したとあります。患者数が200万人を突破したのも前年より1カ月早い時期でした。高熱が出て全身が痛むA香港型が多く、その次がB型でした。これを読みながらそのしんどさを思い出し、顔をしかめている人もいるかもしれませんね。